あさっての方向。 #12 (最終回) 「ここにいること」

からだを連れ戻しに、海辺の町にやってきた尋と椒子。椒子の述懐を聞いているうちに、またも罪悪感から突発的な家出衝動にかられて走り出すからだでしたが、徹允の「好きだ!」で正気に戻ります。尋とも再び兄妹として関係を結び直し、みんなで叶町に帰還。
家出の要因が尋 (と椒子) にあったのに、からだを引き止めたのは徹允で、尋との和解がおまけ扱いになっているというのは、やはりどうかと思います。結局のところ子供の家出は理屈じゃなくて癇癪で、戻るきっかけなんてなんでもいいってことですかね。
そういった感じで、途中の展開に気になるところはあったものの、最終的には収まるべきところに収まったいい最終回でした。ラストもややご都合主義ではあるんですが、抑制の効いた演出で不自然さも最小限まで抑えられているので、まあいいかと。
作画は最後まで堅調。唇の表現がやや濃い目で、今までの偶数回の中では一番長谷川眞也色が強く出ていたかな。

総括

高品質なキャラ作画と背景、丁寧な演出、心理描写といった美点を最後まで維持しましたね。素晴らしいです。スタッフの皆さん、お疲れさまでした。特に作画。伊藤郁子、長谷川眞也の総作監2人のいい仕事です。伊藤郁子キャラ鑑賞アニメとしてもたいへん楽しみました。眼福。
あと忘れてならないのがエロス。健康的なエロ作画がたいへんハイレベルでよろしかったです。この健康的なエロスに、外見と内面のギャップ、あるいは血の繋がらない兄妹といった妖しいシチュエーションを絡ませてくるところがまた上手い。
ストーリー展開については、前半は願い石という大胆なファンタジーを取り入れながらも終始落ち着いていて、非常に良かったです。後半、からだの家出以降、ちょっと納得の行かない展開もありましたが、まあ1クールに収めるという制約の中では仕方のないところもあったかな。