レ・ミゼラブル 少女コゼット #52 (最終回) 「銀の燭台」

ジャン・ヴァルジャンが姿を消して1年後。ジャンが設立を準備していた学校も順調に立ち上がり、マリウスが小さいながら法律事務所を開いていた頃、コゼットの元にジャンからの手紙が届きます。急ぎジャンを訪れたコゼットとマリウスに、ジャンは自分の余命がもう幾許もないと言い、匿し続けてきた自分の過去をコゼットに告白し始めて。
そんなわけで最終回はジャンの過去 & 最期編。これまでも断片的には語られてきましたが、本格的には最終話まで取って置いたジャンの過去を満を持して投入し、ミリエル司教に灯された希望の灯をコゼットとマリウスに受け継いでもらうクライマックス。一年間の物語の集大成として、大変に満足の行く締め括りでありました。

ジャン・ヴァルジャン。数奇な人生を生き抜いた男。その生も死も全て自然のまま。昼が去った後に、夜が来るように……」

ジャンの墓標を遠くから眺め、去っていくジャヴェールの格好良さったら! なんだかんだで一番良い所を持って行ったんじゃないか!?

  • 喪服コゼットは良かった。非常に良かった
  • ラストにはロリコゼット登場! 大きなお友達へのサービス回想シーンか!? と思いきや、コゼットの娘でしたか。なんにせよ良いファンサービスでした

総括

まずは、4クールかけて1本の大河ドラマを描き切るという、世界名作劇場の醍醐味を再び味わうことができたことを感謝したいです。1クールや2クールではけして描けない大きさの物語を描き、玩具や少年漫画の紐つきでもなく、いつ終われるか分からない長寿アニメのようにマクロなドラマがグダグダになることもないという、今の時代には希有なアニメ枠を復活させ、次年度に繋げることができたというだけでも充分な功績と言えましょう。スタッフの皆様、1年間ありがとうございました。
まあとかく名劇に持ってくるには色々と問題のある原作だったわけですが、総体としては、当初想像していた以上に原作に忠実にやってくれたと思います。8話のファンティーヌ追い込みは今でも強く記憶に残っているところ。バリケード編終盤以降、ガヴローシュやジャヴェールの末路、そしてジャンとマリウスの確執に大きな改変が行われ、最終的にはどこが「レ・ミゼラブル (悲惨な人々)」なのかまるで分からない結末に辿り着いてしまいましたが、これはこれでドラマとしては充分に成立していましたし、名劇としては致し方ない改変だったかなあと思います。まあ原作既読者としては、ここまで頑張って原作通りにやってきたのにという複雑な思いもありましたが……。個人的には、ジャンがコゼットに向けていた、ただ娘というだけではない複雑な愛情と葛藤がばっさり切り落とされてしまったのが残念なところですけど、でもこのガチロリコンのドラマは、例え名劇でなくとも現代のTVアニメの題材にはなり得なかったように思うので、まあ文句は言いません。
大きく不平を述べたいのは中盤以降頻発した作画崩れで、これは2年目以降是非とも改善して欲しい部分。まあDVDの売上げが期待できない名劇枠で、かつBSフジ放送ということで、予算面では厳しいのかもしれませんが……。