RED GARDEN #22 (最終回) 「光」

橋を爆破し、ルーズベルト島を孤立させた上で学園に押し寄せてくるドロル。アニムスとドロルの乱戦の最中、アンナを抱いたエルヴェと相対するケイトたち4人。全体に駆け足な展開でしたが、なんとかラストシーンまで辿り着いてくれたので満足です。ルーズベルト島が花で埋まっていき、「RED GARDEN」となっていくシーン、そして花園で目覚める4人というラストは幻想的で美しいヴィジュアルでした。
ケイトとエルヴェのバトルは、「何度でも生き返ってやる」と言うケイトの強靱な生きる意思がクライマックスに相応しい盛り上がりを見せていましたが、それより何より子安の口汚ない罵りの数々が素晴らしすぎました。理想だの大義だの語らせておくに止まらず、「臭うんだよ」とか「腐った女が」とかの罵詈雑言がたいへんにエグくて、人間性の汚ならしい部分を曝け出すかのような迫力に満ちています。なんというか、聴覚的にグロい。殺し合っている相手との会話が様式美的なお上品台詞で埋まっているエンターテイメント作品へのアンチテーゼなのかもしれませんね。
結局呪いの書を合わせて何が起きたのか、なぜリーズの記憶が戻り、そしてリーズだけ死んだのか、あの蝶や花は一体なんだったのかといったあたりはすっ飛ばされてしまいました。また、生を望むケイトたちと死を望む人形たちの対比構造にも明確な答が出ないままで、座りが悪いです。放送局の都合で2話削られたという話ですが、尺不足でこうなってしまったのか、端から謎解きはどうでもよかったのか、どちらなんでしょうね。
作画は最終回らしくたいへん良好。バトルシーンで、寄った構図でのダイナミックなアクションとキャラの端正さを両立した作画が印象的です。作監:中村深雪、石井久美作監補:小林理。

総括

プレスコに裏打ちされたリアル志向の日常芝居、そして濃密な心情描写は、全編を通してたいへんに見応えありました。大満足です。とかくプレスコが話題になりがちですが、それを抜きにしても各声優が持てる力を存分に発揮した名演技を連発していて、いい仕事だったと思います (プレスコだから発揮できた、という面もあるのでしょうけど)。22話中15話も監督が絵コンテを切っていましたが、演出面でも安定して高水準でした。作画が安定しなかったのが残念といえば残念。
絵作りの点でも独創的でしたね。藤純原案のキャラデザは、所謂アニメっぽい絵柄からは2歩も3歩も逸脱していて、アニメーター泣かせだったのではないかと思いますが、アニメ絵・萌え絵を基点としない美意識に貫かれていて、たいへん魅力的でした。松尾衡監督の拘りでもあるんでしょうね。ローゼンメイデンの時にも、人形が動くという表現に偏執的な拘りを見せましたが、絵作りの点で独創的な仕事を期待できる (数少ない) TVアニメ監督だと思います。
こんな挑戦的な企画を出した松尾衡も凄ければ通したゴンゾも偉いなあと思いますし、作り遂げたスタッフには惜しみない拍手を贈ります。お疲れ様でした。