こうの史代 「街角花だより」 (双葉社)

こうの史代の新刊。デビュー作である「街角花だより」を含めた、旧作中心の短編集です。こんなのが出てくれるのも人気の賜物ですね。私は全作品初見でした。眼鏡っ娘な店長さんと元OLのバイトさんの、花屋の日常を描いた表題作シリーズを始め、ほのぼの系の作品が集まっています。表題作の他には、サンタさんに人間になりたいとお願いした犬が願い叶って人間の少女となる「願いのすべて」が、たいへん可愛らしくてよかった。
古くは1995年のデビュー作から、新しくは今年の最新作まで収められているわけですが、驚くほど年代の違いによる違和感がありませんね。デビュー当時から、絵柄、ストーリー建てともに基本的な作風は出来上がっています。
こうの史代作品らしく、また装丁が凝っていて面白いです。カバーを裏返すと花屋の包装紙になっていて (コートも包装紙っぽい)、表から見ると裏の紋様がかすかに透けて見えるという趣向。