入江亜季 「群青学舎」 1巻 (エンターブレイン)

さて、今年出る漫画単行本の目玉の一つ、入江亜季の初単行本2冊です。
群青学舎」は現在もビームで連載中の読切連作。学舎モノということで、一応学校が舞台になっている作品が多いですが、まあ毎回かなり好き勝手に描いてます。1巻には「白い火 (後編)」までの9本と、「群青学舎」以前にビームで初めて描いた読切「アルベルティーナ」を収録。珠玉の短編集と言っていいでしょう。どれも流麗で色気のある描線と、切れ味良く瑞々しいストーリーが素晴しい。この切れ味は、入江にとっても今しか出せないものかもしれません。
その描線とシチュエーションが醸し出すエロスはたいへんなもので、以下のお話は特にお気に入り。

  • 「ピンク・チョコレート」。実験のためにほれ薬を飲んだ学生男女。普段は色気もへったくれもない女が不意に見せる色気に、男はついくらくらきてしまって。
  • 「白い火 (前・中・後編)」。不良っぽい男と真面目な女の高校生カップル。男に繰り返し金を借りる女は何か悩みをかかえているが、力になろうと問い質しても女はつれない素振り。
  • 「アルベルティーナ」。カフェで大人気のウェイトレスは、常連の中でただ一人自分に興味を示さない男が気になって。

ツンデレ」ブームに汚される前のツンデレがここにある!(思いつき)