「紅」 #12 (最終回) 「われ存在り」

再戦で竜士を打倒した真九郎。しかし紫は真九郎と帰る道を選ばず、九鳳院で自分が自由に生きる道を切り開く決意を固めて。なんだかんだいっても最後には2人で五月雨荘に帰るエンドだと思っていたので、想像以上の成長を見せた紫には真九郎同様驚かされましたよ。ちょっと冷静になると、7歳児にここまで立派な物言いが出来るんだろうかとか、父親が折れてしまったら結局また精神的に押し潰されてしまうんじゃないかとか思わなくはないけれども、しかし決意に満ちた紫は、凛々しく美しかった。予想を超えてなお満足の行く最終回を、久しぶりに観た気がします。
最終回らしく脚本・絵コンテ・演出:松尾衡作監石井久美。作画的には雪上カーアクションや真九郎 & 弥生のシンクロバトル等、見所たっぷりでしたが、特に凄かったのが、紅香が刺されてから真九郎が角を出しての一連のアクション。人間離れした動きと虚ろな真九郎の表情で、これでもかと不気味さを表現していました。6話のミュージカルシーンを彷彿とさせる髪の毛の表現は、田中宏紀なのかな? あと、この真九郎の角の使い方には、いわゆるバトルものにおける暴力性の在り方に対する、松尾監督のアンチテーゼが込められているのではないかしら。

総括

プレスコを使ったテンポの良い会話劇やミュージカル等、「RED GARDEN」からの松尾衡路線を色濃く受け継ぎつつ、ハーレム的なキャラ配置や幼女といったフックも程良く用意してあって、格段に間口が広く親しみやすくなった印象。作画面での下支えも見事で、声の演技と凝った作画がっちり噛み合った日常芝居の魅力は、他に類を見ません。そして、その日常芝居に拠って立つキャラも実に魅力的。言うことない面白さで、実に楽しかったです。
松尾監督はとうとう全話絵コンテ完走 (複数コンテ2回)。加えて脚本6話、演出4話。本当にお疲れ様でした。