入江亜季 「群青学舎」 3巻 (エンターブレイン)

入江亜季の読切連作も3巻目。相変わらずの端正な描線に魅力的なキャラたち、そして切れ味鋭いストーリーで、佳作揃いの短編集です。お互い素直になれないツンデレ父娘に挟まれた執事の受難を描く「赤い屋根の家」、1巻につき1話のノルマなのか「続々ピンク・チョコレート」、王家の戦略商品として幼い頃から深窓で育てられた姫が、輿入れ中に盗賊に襲われる「待宵姫は籠の中 (全3話)」あたりがお気に入り。
わりと型にはまった美女/美少女ヒロインが多かったこれまでからすると、女性キャラの幅を意識して広げてきているようで、顔が平たい感じの「薄明」ヒロイン、丸っこく温厚な「メリー・ガーデン」の若奥さん、頭身が高くキャリアウーマンぽい「雪降り積もる」の4人等々、バリエーション豊かなところも面白いです。