ゆめだまや奇談

アニマックス大賞で大賞を受賞した原作脚本を、今回はプロダクションI.Gがアニメ化。監督は川崎逸朗
母親が亡くなってからというもの、幼い弟の面倒を見ながらの生活にどことなく鬱屈を感じていた主人公の少女、なほ。自分の誕生日にも弟の面倒を頼まれて、友達との約束をふいにしてしまったなほのところに、ゆめだまやのコタローを名乗る妙な男が訪ねてきます。男はなほをめくるめく夢の世界へと誘い、なほが望む夢と現実とを入れ換えようと申し出ますが。
冒頭からてきぱきと設定説明をこなしつつ、育児疲れでつい弟を怒鳴ってしまうなほの心理描写がやけにリアルで、引き込まれました。弟の世話をする11歳の姉という設定はアニメ向けのカモフラージュで、実のところは家事や育児に疲れた主婦が癒しを求める話なんじゃなかろうか。そう考えると、ある日家にやってきて、めくるめく夢を見せてくれる訪問販売の男というのもなんか意味深ですね。
Production I.G制作ということで期待はしていましたが、作画面はなかなか充実していましたね。特にキャラクター。高橋葉介キャラの愛嬌や可愛らしさを生かしつつ、実に上手くアニメに起こしているなあと思います。キャラデザ・作監:中村章子。作画芝居も行き届いていて、特に冒頭、マンション内でのなほの日常芝居はいちいち上手かったなあ。作監補:馬場充子、西位輝実、横田晋一、千葉崇洋、柴山智隆。原画に馬越嘉彦
声優的には、なにより金田朋子のやさぐれた毒舌ケダモノ演技が破壊力抜群で素晴らしかったです。特に産卵シーンがもう絶品。そしてコタロー役のフリーザ中尾隆聖は流石の安定感。