桃華月憚 #26 (最終回) 「華」

最終回、すなわちこのアニメにおいては物語の発端となる桃香と桃花の誕生と出会いの回。特段のひねりやストーリー上のサプライズもなく、桃華月憚にしては素直な作りの時系列初回だったかと思います。
変に謎解きに走ることなく、叙情的にまとめたのは個人的にはむしろ好印象。第1話のラストと対になる2人の出会いの場面は、さすがの美しさでした。不確かな自分の存在に悩み不安な桃花が、桃香と出会うことで救われるという展開も、第1話で一人残された桃香の悲しみ・孤独が、(別世界で) 桃花と出会うことで救われるという展開と対になっていますね。
最終回らしく全般に気合の入った作画と演出。しかし途中で妙に歪んだアップの作画が混ざるのでなんだと思っていたら、原画:喜多村英梨。本当に最後の最後までネタを忘れないアニメです。

  • 桃香は石剣の使い手として、鬼梗の作りかけの人形を依代に誕生、桃花は由美子の書きかけの小説から形成された肉体にセイが宿って誕生と、まあこの辺は既に語られた通り
  • 二宮三姉妹も、桃香とほぼ時を同じくして誕生。しかし章子と明日菜の会話からすると三姉妹は以前からいるようで、謎ですね。三姉妹は以前からいて、新たな依代を見つけたということなのか、誕生と同時に記憶の改竄が行われたのか
  • 女の格好をしている桃香を婚約者と間違え、ぶん投げられる春彦くん。最後まで大活躍だなあ

ところでBS朝日版25話の修正箇所は、桃花いじめの回想シーンでした。ということはNGとなったのは精液コンドーム弁当ですかね。22話で一度は放送したのに、一瞬の回想カットがNGというのはいまいち納得行きませんが、22話放送時に苦情でも来たんでしょうか。まあともかくドキュメンタリー回という特性上、こういう演出だと言われればそれで納得できるので大勢には影響なし。『※只今、静止画と音声のみでお送りしております。』というテロップもごく自然に馴染んでいました。

総括

逆再生や声優脚本といった様々な仕掛け、訳分かんないストーリー、耽美な絵作り、ギリギリまで踏みこんでいながら不思議と品のあるエロス、そして全体を貫く美学。「ヤミと帽子と本の旅人」の再来という初期の印象そのままに、最後まで走り抜けてくれました。特に西田亜沙子の美麗なキャラと、望月智充のフェチセンスが組み合わさって生まれるエロスというのは、今以て実に強力。
とにかくいろんな事を仕掛けてくるアニメで、次は何をやらかすしてくるのか、毎週楽しみでした。まあ必ずしも全ての試みが上手く機能していたわけではありませんが、個人的にはこういう挑戦的な姿勢は好きです。