レ・ミゼラブル 少女コゼット #25 「届かぬ思い」

マリウスに出会ってからというもの、地味で化粧も知らない自分が急に恥ずかしくなるコゼット。しかし、ジャン・ヴァルジャンはおしゃれをしたいコゼットの気持ちなど意に解しません。一方で自分たちの周囲を嗅ぎ回る怪しい人物の存在に気付いたジャン・ヴァルジャン。その正体はマリウスなわけですが、ジャヴェールの手の者かと勘違いしたジャン・ヴァルジャンは、持ち前の用心深さで早速引越してしまいます。一つところに落ち着けない人ですね。あとは、親父の強盗の片棒を担がされ、こんな自分がマリウスに釣合うわけがないと悲しむエポニーヌがますます薄幸美人ぶりを発揮していて可愛いぞとか、ガヴ&シュシュの引ったくりコンビが巧すぎるとか。
恋を知り、おしゃれに目覚めたコゼットの欲求を、知らず抑えつけてしまうジャン・ヴァルジャン。幼いころはただ庇護されていたコゼットでしたが、長じて自我を持ち、保護者たるジャン・ヴァルジャンとの間に意見の相違が生まれるようになったと。親離れ、子離れというと普遍的なテーマですが、ジャン・ヴァルジャンの側から見るとそうとばかりは言い切れそうもないところが面白いです。コゼットが恋していると聞かされ、表情を険しくするジャン・ヴァルジャンがコゼットに持っている感情は、本当に親子愛なのか?
しかしまあ、今回誰より輝いていたのはマリウスくんですね。コゼットの前で不審者まる出しな行動を取ってジャン・ヴァルジャンにマークされるマリウス。コゼットを尾行してアパートを突き止めるマリウス。アパートの住人にコゼットの家のことを根掘り葉掘り訊いて怪しまれるマリウス。極めつけにコゼットとジャン・ヴァルジャンが座っていたベンチに落ちていたハンカチを拾って、「U. F.」というイニシャルから「ユルシュール」という名前を勝手に想像し、心の中で呼びかけているマリウス! ちなみにジャン・ヴァルジャン修道院に入る時に使っていた偽名が「ユルティーム・フォーシュルヴァン」なわけですが! なんかもう他人事とは思えぬ素敵な痛々しさで、笑いが止まりませんよ。今時TVアニメで堂々とこんな青臭い独り相撲をやれるのも、名劇ならではだと思います。
今週はキャラデザの渡辺はじめ作監を担当していて、久々に作画良好でした。キャラの芝居もきちんと入っていますし、何よりコゼットがちゃんと可愛かった。これが本来のコゼットなんですね。欲を言えばこの作画をイメチェン初回に持って来て欲しかったなあ。