佐藤明機 「ビブリオテーク・リヴ」 (コスミック出版)

予定から半月ほど遅れましたが、無事出版されて一安心です。例によってAmazonは当てにならずに、リアル書店で購入……。
旧版との相違点は、まず表紙・裏表紙が新規描き下ろし。巻末に新規のあとがき文。巻頭、巻末カラーは再現されましたが、巻中カラー4Pがモノクロへ。そして版型がB5からA5へと一回り小さくなりました。単行本未収録の作品から、せめていくらかでも新規収録されていないかと期待していましたが、残念。あとがきによると、コミックマスターの休刊で描けなかった分の2話を新規に描き下ろす予定だったそうで、これも実現しなかったのは残念でした。
とまあ、のっけからちょっとテンション下がるようなことを書きましたが、こんな細かいことどうでもいいですね。祝・復刊。コスミック出版ありがとう! この傑作が、欲しいと思う人みんなの手に入るようになったことが嬉しいです。(旧版を持ってるような狂信者は、どの道買うに違いない。)
さて、「ビブリオテーク・リヴ」は、この10月に同じく復刊された「楽園通信社綺談」の続編にあたります。「楽園〜」の後半に出てきたニコ図書館長が主人公。前作の主人公、メイウルフも出てきます。佐藤明機については、「楽園〜」のときの感想を参照のこと。「ビブリオ〜」では、前作よりもSF色が強くなり、1話12P前後のショートショートSFの連作になっています。ほんわかするいいお話あり、不思議なお話あり、一発ギャグあり。自由闊達なSF的発想と超絶的な描き込みの画力に支えられた、イマジネーションあふれるお話の数々。たいへん面白いのですが、旧版は発行部数が極端に少なかったようで、発行後すぐに幻の本となってしまいました。
「楽園〜」の続編ではあるものの、ストーリー的にはほとんどリンクしていませんし、完成度では断然「ビブリオ〜」が上です。薄さに躊躇する人もいるかもしれませんが、佐藤明機に興味をお持ちでしたら、まずはこちらからどうぞ。値段分の価値はありますよ。