シムーン #25 「パル」

ユンの前で性を選び、大人になる7人。各人がどちらの性を選んだのか、Bパートまで明かさない焦らしの構成は、さすがシムーンです。一方、残ったアーエルとネヴィリルに対し、一刻も早い泉行きを強硬に主張する嶺国は二人を拘束、強制的に泉に連行しようとします。二人の最後の挨拶をプールの前で行うように取り計らった艦長。絶体絶命のピンチにマージュプールからシムーンが現れるという、この作品には珍しいギミックを使った大胆な展開には、素直に燃えました。シムーンに乗り込み、アルクス・プリーマを脱出するアーエルとネヴィリル、といったところで次回へ。

7人の選択

結果発表が、各人とも自分の性を告げるのみというあっさり加減で、誰一人性決定に至る自分の心境を解説したりしない所がいいです。理由は、積み重ねてきた描写と、視聴者の心の中にあるということですね。
7人中女5人、男2人と、大部女に偏りました。まあ性決定前とはいえ、ほぼ一貫してシヴュラたちは「少女」として描かれてきましたから、素直な選択の結果ということでしょう。

パライエッタ:女

「ああ。私たちは、誰もお互いのことを何も知らない。だが、それを知るために、私たちは落ちてゆく。落ちてゆかなきゃならない。大声で叫びながら、恐怖で口から飛び出しそうになる、内蔵を押さえ込んで。どこまでも、どこまでも」

パラ様が言うと重みが違います。そして、泉から帰ってきたパライエッタ。

「私と踊らないか」

ごめん。吹きました。

「待ち続ける自分に酔って、すべては相手のせいであると思う思いを、やめることにする。本当に愛されることを、おぼえたい」

自分が女であることを告げた時のパラ様の可愛さといったらもう。そう、パラ様は誰よりも乙女でした。

モリナス:女

「お帰りなさい」
「ただいま」

モリナスは女になって、ワポーリフのところへ帰ってきました。結局、恋愛感情ドリブンで性を決めたのはモリナス一人でしたね。そして、意外といえば意外なことに、シヴュラ同士での恋愛感情を、男女の組み合わせになって成就させるというシチュエーションは、1件もなかったことになります。

カイム女、アルティ:女、ロードレアモン:女

姉妹は大人になっても姉妹であることを選びました。

「その奈落の底に、きっと僕がいる」(カイム)

12話と逆のシチュエーションですね。二人はお互いに支え合う関係を築いていくのでしょう。「泉から出てきたら自分は男、相手は女になって」と夢見ていたアルティはもしや、と思っていましたが。いや、深読みするなら、近親が禁忌である以上、同姓の方が一緒にいやすいという計算を働かせたという可能性も……
ロードレアモンは、特に性決定の要因がなさそうでしたが、メンタリティが明らかに女の子でしたから、順当な結果でしょう。

ヴューラ:男、フロエ:男

ヴューラは、まあ順当な感じです。というか、数少ない男になれるキャラでしたね。
一方フロエはまさかの逆転ホームラン。でも次回予告のカットではえらい美男子になっていたので、きっとモテまくるんでしょうね。

アーエル、ネヴィリル

ガチンコで恋愛している二人。

「どうして?どうしてあたしの胸はこんなに痛い?」
「恋を、しているから」
「これが、恋」
「そう。それが恋よ、アーエル」

「アーエル、あなたが好き。アーエル」
「逢いたいよ、ネヴィリル。触りたいよ、ネヴィリル」

そして壁ごしのキス。今時こんなんありかと思うほど大仰でドラマチックな芝居です。大人になることを拒否し、永遠の少女たることを決めた二人だからこそ、ギャグにならずに成立するんですね。

アヌビトゥフ、グラギエフ

やったやった、やりやがった!(大喜び)
ストーリーも大詰めにきたこの段階で、濃い恋愛感情を見せているのが片や永遠の少女同士、片や男同士というのが、この作品の性格を良く表しています。

その他

泉のシーン、やり残したことはと訊ねられて、「古代シムーンを操縦してみたかった」(モリナス) とか、「一度でいいからアルクス・プリーマの艦長席に座ってみたかった」(フロエ) とか言ってるのが面白かったです。男になったフロエには、そのチャンスがあるかもしれません。
泉のシーンで、シヴュラの腰周りに湯気が出ていたのはテレ東規制でしょうが、邪魔でしたね。2話の泉シーンでもアングルと透過光で隠していたので、そうではないかと思っていましたが。
次回予告、数年後の彼ら彼女らとリモネ。あれこれ妄想したくてたまらないカットばかりで嫌になります。まあ予告でこんなおいしいカットを見せてきたということは、本編にはこんなの軽くぶっちぎるサプライズが用意されているということですね。正座して待ちます。

追記

今回初めて原画に西田亜沙子がクレジットされました。担当シーンは、あそこかなーと思っていましたが、やっぱり (演技プラン解説)。実に細かい演技が入ってましたもんね。
ASさんの総作監としての作画作業は18日夜に終了した模様。放送のジャスト1週間前ですか。まあここから動画、仕上げ、撮影、編集とあるわけですからね。無事放送されることを祈りましょう。