風人物語 #13 (最終回) 「雪緒ふたたび」

これも一週間遅れになってしまいました。
最終回。あの夏から1年、今度は雪緒さんがナオたちの街にやってきます。
大気先生のことを吹っ切り、心に風を起こした雪緒さんが来たことで、ナオたちやネコ、そして保健の先生までもが風を起こします。しかし、そこからお話が広がっていくわけでもなく、雪緒さんはナオたちが知らぬ間に街を去り、ナオたちは大気先生から、雪緒さんが別れを告げにきたのだと聞かされるだけでした。
前回に引き続き兵藤まこ脚本 (西村純二と連名)。なんとも掴みどころのないお話でした。高校生になったナオ、ミキや、大人になったナオがインサートされるシーンも印象的ですが、どんな意味があったのかはよく分かりません。意味なんて必要ないのかもしれませんが。風人らしい終わり方とは言えます。
屋上での大気先生、雪緒さんの髪が風になびくシーン等、印象的なカットは多いです。あと久しぶりの雪緒さんは相変わらず色っぽかった。

総括

実に渋くていい作品でした。私は好きです。
まずはその画面作りがいい。デフォルメの強いキャラクター、切り絵調の背景、色彩、レイアウトが合わさって、実に個性的かつ完成度の高い画面を作り出しています。これは荒川眞嗣の個性といっていいのでしょうか。特にこのキャラクターでエロいというのが凄い。また、このキャラクターでの細かい演技という難題に、きちんと答えた原画スタッフもいい仕事です。
そしてストーリー。風使いというファンタジーを導入しつつも、そこから大きなドラマに発展することはなく、あくまで中学生の日常という視点を外さないストーリー作りがいいです。良作画に支えられた濃やかな心情表現も見所。また、各話単位ではかなりトリッキーな演出にも挑戦していて面白いです。
けして (短期的な) ヒットを狙える企画ではなかったと思うのですが、たいへん良いスタッフが結集しました。押井守の力でしょうか。Production I.G 制作ということで、作画面でも非常に恵まれていましたね。要所でI.Gのビッグネームが原画に名を連ねています。