true tears #13 (最終回) 「君の涙を」

乃絵に絵本を読んでもらい、別れ話をつけた眞一郎は比呂美の元へ。そして季節は移ろい春、鶏小屋の前で一人佇む乃絵の瞳から舞い散る雫。前回の流れからして両方とお別れエンドもありかと思っていたので、比呂美が報われたのはなによりでした。以外なほど綺麗にまとまった感じで、いい最終回だったと思います。格好悪く泥にまみれて、兎にも角にも「ちゃんとする」眞一郎、そして眞一郎 (=辛いこと) ときちんと向き合い、人と接することの苦味を知って少し大人になる乃絵。少年少女の恋愛劇の果てにこういった普遍的なテーマを浮かび上がらせる手腕は、さすが「シムーン」の西村純二監督だなあと。

  • クラスメートの面前で「家来て」宣言→「カップ、ひとつ割っちゃった」→「いいよ」という比呂美さんの勇猛果敢な攻めが今回も素晴らしかったです。よく凌いだぞ眞一郎!
  • 「待つのって、……体力いるのよね」。なんとまあ雄弁な一言でありますことよ。true tearsの裏主人公はママンだったと思うんだ

総括

ちょっと息苦しくなるくらいの生々しさを持った青春ドラマがたいへんな見応えで、深夜アニメにこれを求めている視聴者がどれだけいるのかは分かりませんが、個人的にはその挑戦的な姿勢も含め、たいへん楽しみましたよ。観るのに体力を使うアニメでしたが、それだけに面白かった。
全編を通して、丁寧で緻密な心理描写が目を惹きましたが、脚本・コンテレベルでの練り込みは勿論のこと、地味な芝居での心情表現という難易度の高い要求に見事に応えた作画が印象的です。P.A. worksの初元請という事情もあったのかもしれませんが、作画スタッフのテンションの高さが画面から伝わってくるようでした。あと個人的には、西村監督コンテ回の挑戦的な演出の数々が興味深かったですね。特にハーモニーの使い方がどんどんアバンギャルドになっていくのが面白くて、出崎演出に留まらないハーモニーの可能性を模索しているかのようでした。