レ・ミゼラブル 少女コゼット #35 「パトロン・ミネットの脱獄」

嵐の夜に、ついに監獄を抜け出すテナルディエたち。ヘマをしたテナルディエをすんでの所で救ったのは、なんとガヴローシュでした。どうしようもない親だけど、それでもこの世に生まれてきたことには感謝しているからと宣うガヴローシュは天使に見えますよ。その陽性な気質は姉のエポニーヌといい対比になっています。しかし自由になったテナルディエは早速プリュメ通りのジャン・ヴァルジャンとコゼットの屋敷に目を付けてしまい。まったくテナルディエのしつこさと嗅覚の鋭さには、呆れる他ありませんね。
一方伝染病の流行でますます貧民たちは困窮し、蓄積された政府への不満はだんだん革命へと形を取りはじめます。革命、武装蜂起というと物騒ですが、フランス革命からまだ50年足らず、数年前には7月革命があったばかりですからね。ブルジョワジー以外の平民にはまだ選挙権もなかった時代、貧民が政治主張を実現する手段が革命しかなかったのも事実で……というあたりの事情をもう少し作中に入れておかないと、ABCの友の会が単なる血の気の多い若者の集団に見えてしまわないか心配です。特にマリウスくんは、コゼットにいい格好をしたくて革命参加してるようにしか見えない……。