週刊ヤングジャンプ 24号

武富智「この恋は実らない」。冒頭いきなりホストクラブだし、掲載順もなぜか上位なもので、「夜王」の作画がいつになく面白いぞ、と一瞬思ってしまいましたよ。金ヅルだったおばさんとも縁を切り、いざラブレターで百合子さんに告白と思いきや、なにやら百合子さんと親しげな男登場。
柴田ヨクサルハチワンダイバー」。ますますヒートアップしていく二こ神さんと海豚七段の勝負。今回はほぼ全編将棋描写で、普段よりも手筋を見せることに注力していた印象。多分将棋を分かる人には面白い棋譜で手に汗握る勝負なんだと思いますが、将棋を指さない身にはいまいちピンとこなくて、ちょっと置いてきぼりな気分です。勝負自体の面白さを描写しようとすればするほど間口が狭まってしまうというのは、将棋・囲碁マンガの永遠の課題ではありますが。
作:高野洋・画:井上紀良「メディエーター桐島丈一郎」。読切54P。漫革に掲載されている調停員漫画が、本誌に顔見せという形のようです。カジノを誘致するか否かで住民が真っ二つに割れ、険悪に争っているアメリカの田舎町が舞台。調停員として町にやってきた男、桐島が争いの動機を解き明かしていくお話。なぜ人は分かれ争うのかを真摯に問うていくストーリー展開は、高野洋の力量が存分に発揮されていて見応えありました。ああ、これは「国境を駆ける医師イコマ」ボスニア編の続きなんですね。問題点は、高野洋と井上紀良との相性でしょうか。高野洋がYJ誌上で生き残っていく上で最大のネックが作画にあったことは明らかですが、だからといって何も「夜王」の井上紀良と組ませなくても、と個人的には思います。