天保異聞 妖奇士 #25 (最終回) 「ヒトハアヤシ」

前島聖天に眠る4本目の首 (竜) を目当てに、乗り込んでくる西の者たち。アトルを使って首=百足の妖夷を呼び出します。江戸城に乗り込んで、この百足を将軍家の世継に取り憑かせる目論みでしたが、奇士たちの全員攻撃で百足を退治。一人異界に飲まれたアトルを、往壓が愛の告白で呼び戻しての大円団。もっと空中分解気味に終わるのかと思いましたが、いつになく活劇らしいエンターテイメントをしながらお話にもきちんとケリをつけて、存外綺麗にまとめましたね。打ち切りというハンデを考えれば上出来で、満足です。
最終回らしく漢神の大バーゲンセールで、奇士全員の漢神を披露。元閥さんは 閥→伐→戈 (ほこ)、小笠原さんは何故かメリケンサックでぶん殴り。おまけに鳥居さんまで。まんま鳥でしたが。
異界を物語 (フィクション) のメタファーとして落とすのは、字幕を絡めるやり口が直接的過ぎるものの、頻出したカメラ目線で喋り出すメタ演出の延長として、納得の行く締め方でした。

総括

地味な時代背景、39歳主人公をはじめとしたオヤジだらけの登場人物、會川昇のクセの強い脚本。まあ視聴率という観点で結果が出ないのも致し方ないとは思いますが、しかし何かを間違えたというわけではないと思います。妖怪退治に食を絡めたオリジナリティのある設定、歯応えある重厚なドラマ、彫りの深い人物描写、(妖夷絡みのフィクションを除けば) 本格時代劇と言ってよい綿密な時代描写、そしてそれらを支えたボンズの作画、演出。スタッフの意図するものは充分に表現されていて、存分に面白かった。
結局企画段階での放送枠とのミスマッチということなんでしょうが、といってこんな企画、土6以外の4クール枠では門前払いでしょうし、深夜枠ではそもそも4クールは望めませんし。そう考えれば2クールで終わるのも必然だったのかなあ……と思って、自分を慰めることにします。