シムーン #21 「新天地への扉」

まさに怒涛の種明かし。頭がついていけません。大きな謎がいくつも明かされつつも、いまだ深度を深めていく物語。いったいどう決着がつくのか全く想像できませんが、ここまで来たなら、もう西村監督を信じて付いていくだけです。

翠玉のリ・マージョン

宮守が語る翠玉のリ・マージョンの秘密。翠玉のリ・マージョンは、時空を飛び越え、歴史の改竄すら可能な究極のリ・マージョンでした。

「はるか昔、現在よりも優れた文明があり、シムーンはそのころから存在したと伝えられています。しかし、度重なる戦争を越え、大地は荒廃してしまった。すでにどの地にも利はなく、戦争を行う理由も消えたのです。飢えた民衆にシムーンは不要となり、その使用も忘れ去られました。人々は、このまま自然に滅びゆくのを待つしかなかった」
「そこに空が割れ、違う世界からシムーンが飛んできたと。そのシムーンは神の申し子を乗せていた。彼女たちは、彼女たちは自らをシムーン・シヴュラと名乗ったそうです。そして、翠玉のリ・マージョンを伝えた」
「そう。違う世界、いや、違う時代へとその身を運ぶ究極のリ・マージョン。神が我々に与えたもうた、偉大なる「もしも」なのです」
「もしも、あの時代にこれから戦争が起こることを伝えていたら」
「もしもあの時代、シムーンの必要性を説くことができたなら」

アーエルとネヴィリルに、翠玉のリ・マージョンを使って過去へ飛び、言い伝えにあるシムーン・シヴュラとなって、歴史を改竄することで今の窮状を変えてもらいたいと説く宮守。
宮守のセリフと過去に飛んだドミヌーラのセリフがパラレルになっているため、ここは混乱しやすいところですが、実際には、その役を与えられていたのはドミヌーラとリモネだった、という解釈でいいんですよね。

ドミヌーラとリモネ

前回の引きで再登場は予告されていましたが、翠玉のリ・マージョンにより消えた二人が辿り着いたのは、時間を超えた遥かな過去でした。古代シムーンはあるが、その操作法は失われていた頃。
髪が伸びたリモネは、「わかんない」と言わなくなりました。幼さゆえに、あるいは天才ゆえに我を持たなかったリモネが、自分と向き合い、不器用ながらも自分の考えを人に伝えるようになります。一方のドミヌーラは、リモネとの愛の生活のためか、すっかり険が取れ穏やかな表情になっていました (ドリルも解けかけ)。そりゃ、あんなアイキャッチみたいなラブラブ生活を送ってたら丸くもなるか。

「そう、私は知ってしまった。全てを。私から始まっていたことを知ってしまった」

14話でヘリカル・モートリスの中を覗いた時から、ドミヌーラには言い伝えにあるシヴュラが自分たちであることが分かっていました。自分の苦しみがシムーンに端を発していることを思い、リ・マージョンの技術を伝えるかどうか逡巡するドミヌーラ。しかし、リモネに「シムーンがなければドミヌーラと会えなかった」と殺し文句を言われ、決意を固めます。いきなり宝塚が始まったときは、さすがにどうしようかと思っちゃいましたが。
リ・マージョンの技術を伝えた二人は、その後どうするんでしょうね。このまま過去の人として一生を過ごすんでしょうか。再び翠玉のリ・マージョンを使い、コール・テンペストのピンチに颯爽と現れるなんて展開は……シムーンらしくないか。

アーエルとネヴィリル

ネヴィリルに「手、小さいわよね」と言われ、「子供扱いするな」と赤くなるアーエル。戦乙女にもついに春が。それゆえ、アムリア生存の可能性を知り喜ぶネヴィリルを、面白くなさそうに見詰めます。
アーエルの祖父は、コール・デクストラのレギーナだったということも明らかになりました。ドミヌーラがその最後の生き残りであることを考えると、50年かそこらは続いたコールということなのか、あるいは翠玉のリ・マージョンによるタイムスリップが絡んでいるのか、といったあたりが新たな謎として浮上します。
そして、二人が宮守の意向通り (あるいは他の理由で) 翠玉のリ・マージョンをするのか、した場合いつ、どこに飛ぶのかといったあたりが気になるところ。

ユンとオナシア

志願してオナシアの遺跡行きに同行したユンは、オナシアに仲間の魂が解放されたのか訪ねます。

「解放されたいのは、あなたですね。仲間の死ともっとも近い場所に立ち続けようとすることで、仲間の死からもっとも遠い場所に逃れようとしている」

オナシアはどうやら体調が優れない様子。何やら粉を落としながら歩いてますし。寿命が近いのでしょうか。オナシアが後継者としてユンを選ぶ、というのがありそうな展開ですが。

その他

アルクス・ニゲル撃沈。宮国はいよいよヤバそうです。

「グラギエフ、もし私が……いや」

何かを考えているアヌビトゥフ艦長。グラギエフにも言えないようなことらしいです。これ以上の犠牲を出さぬよう、使えない上層部を拘束してしまうとか?
リモネとドミヌーラが行った過去の世界には「男の子」がいたという点も気になるところ。泉による性別化システムの成立まで踏み込むのでしょうか。
あと、パラ様が久しぶりにカッコ良かったです。